「カナヤマヨシオ」
株式会社ムラサキスポーツ創業者・金山良雄の軌跡
株式会社ムラサキスポーツ設立五十周年。
ノンフィクション自伝・伝記
監修 ムラサキ文化SOZO
文 遠藤町子
創業者・金山良雄の軌跡
「一人の人を語るのに、学歴や経歴、社会的功績や業績は、その人という人間の一側面でしかない———」では、何がその人の人となりを、人間性を形づくり、本当の意味でその人自身を「生かす・活かす」ことにつながるのだろうか?
おそらくそれを追い求めてきたのが、他でもない、(株)ムラサキスポーツ創業者・金山良雄氏なのだ。
戦争、差別、最愛の母の死、孤独、アルコール依存に人間関係の綾———生きる意味も気力も失った絶望の闇に届いた一筋の光。その光にすがるようにして始まった良雄氏自身の回復の軌跡。それは一朝一夕の出来事ではなく、沢山の関わりの中で結ばれていった奇跡と希望の果実であった。
そして、自分を育(はぐく)み、育(そだ)ててくれた、その様な関わりが、今度は良雄氏を通して隣人へ、社員へ、周囲の人たちへと流れ始める———。そういう意味で、これは人間性の回復を経験し「生かし・活かされ」始めた一人の人を通してなされる回復の連鎖。
上野アメ横の一商店を、名だたる企業に導いた事業家・金山良雄氏。その根底を流れてきたのは、どうしたら一人ひとりが本当の意味で「生きる」様になるのか、という良雄氏自身の体験に根ざした人間回復の祈りと物語なのだ。